"The art of losing isn't hard to master."

なんとなくこっちで本の紹介と感想の書きなぐりをしたくなりました。インスタに読書垢があるのだからそっちで書けば良いだろうとは自分でも思いますが、本だけの話にはならなさそうなので書くことにします。

タイトルは、One Art / Elizabeth Bishopの一節から引用させていただきました。直訳するなら、「失う術を身に付けることは難しいことではない。」という風になるかと思います。

ピグマリオン/バーナード・ショー 小田島恒志訳 (光文社古典新訳文庫)

honto.jp

こちらの作品は、オードリー・ヘプバーン主演の映画『マイ・フェア・レディ』の原作戯曲です。大まかには内容は同じですが、細部は異なっている部分があります。

イライザの訛りを上流階級並みの発音に押し上げるということが、ヒギンズ博士とピカリング大佐のねらいなわけですから、イライザの訛りは作中で多く言及されています。日本語訳されているものを読む際に、どういった訛りとして表現しているのかに注目することは一つの楽しみ方だと勝手に思いました。

ヒギンズ教授はいわばザコンなのですが、それが良い味を出していて、原作ではイライザとヒギンズ教授が付かず離れずな雰囲気を作り出しているのがとても面白いです。

 

さて、昨年の12月末に私はミュージカル『マイ・フェア・レディ』山形公演を観劇していました。

原作との違いはぜひミュージカルや映画を通して観てみてください。

ヒギンズ教授がイライザの訛りを直そうと、単語をひたすら復唱させるのですが、イライザはどうしても訛った発音をしてしまいます。そこが観客の笑いどころではあるのですが、観ながらふと思ったことがあるのです。

ここにいる観客は大半が笑っているけれど、日本人でも、英語を喋るときに復唱してみると日本訛りになってしまうものだな、と。

母国語→母国語と外国語→母国語という差はあれど、耳で聴いてそれをもとに話すという点では似たようなものではと思うのです。英語教育を少しかじっている者としては、一つの問題点であるように感じます。

話が少し逸れましたが、役者の演技もとても素晴らしく、透き通った声とどうしてそこまで噛まずに言えるのかととても感動しました。

ただ一つだけ、口惜しいと感じたことがありました。私がチケットを取っていたのは、神田沙也加さんがイライザ役、寺脇康文さんがヒギンズ教授役の日程でした。

私がチケットを取ったその日に訃報を聞き、とてもショックでした。しかし、急遽連日公演となった朝夏まなとさんと別所哲也さんの演技も圧巻でした。

 

そして話がとても変わるのですが、日本語訳と言えば最近気になる本を購入しました。

翻訳書簡 『赤毛のアン』をめぐる言葉の旅 / 上白石 萌音・河野 万里子

門井慶喜『おさがしの本は』を読んだ際、「神聖な本文に手を加える」ことの難しさを思い、翻訳というものに畏怖の念を抱いているのですが、翻訳者の思考の構造を読めるというのが貴重かなと思い購入しました。近々旅をする予定なので、そのお供として読もうと思います。

推しの話

文学研究をしたくて、大学院に進学しようと思っているのですが、周りが社会人でお金を稼いでる中、自分はお金を払って学生でいることの罪悪感というか後ろめたさを感じるのだろうなと勝手に想像していたのですが、最近はそんな不安も薄れつつあります。

加藤シゲアキさんと、宮田愛萌さん、この二人の存在がとても嬉しかったんです。

つい先日、愛萌さんが卒業発表をしました。

www.hinatazaka46.com

アイドルとしての愛萌さんを応援できなくなることは少し寂しいけれど、ブログ内で本と関わる夢について語られていて、本当に尊敬する方だと思っています。

本や文学に寄与できることを探して実行する力が彼女にあり、その姿はとても格好良いんですよね。

自分も文学に何かしら、恩返し(というと過大評価しすぎかもしれませんが)できると良いなあとつくづく思うのです。